仕事でいろいろな絵本に出会ってきたけれど、これほど発売を楽しみにしている本もあまりない。
はじめてお会いしたのが、MOE絵本屋さん大賞でのこと。
本当に帰り際にしかお話しできなかったのだけれど、言葉の選び方が心地いい人だなと思った。
「ぼくが作りたかったのは、こちら側で正解を作らない自由な楽しみなんです」
junaidaさんの作る本をもっと見てみたいと思った。
彼は福音館書店から『Michi』『の』という絵本を出していて、これがアート本ともいえる美しさ。
『Michi』は迷路のような道を女の子と男の子が表裏からずっと旅のように歩いてくる絵本。その道も外国の路地のような、空想の世界を歩いていく。
『の』は、わたし「の」お気に入り「の」コート「の」……と、どんどんミニマムな世界になっていくようで、そのコートのポケットには壮大な空間が広がっているという設定。
装丁にもかなりこだわりがあって、大事にしてしまっておきたくなる。
今回、新刊紹介のインタビューが叶って、色校正の現場にお邪魔させてもらった。
私が思う色校正とは違っていて、ものすごく細やかで、ものすごく時間をかけて見ていることにびっくりした。
読者に光や質感や雰囲気のようなものを届けようと、全身全霊をかけていることを知った。すごい。やっぱりjunaidaさんはすごい。
インタビューの開始時間を2時間オーバーしても、色校は終わらなかった。
でもそういう仕事を待つ時間は、嫌じゃないと思った。
妥協しないお仕事。
今回の新刊は『怪物園』。といっても、怪物は怖くない。
大人たちは怖がっても、子どもは全然気にしない。
気にせずに、自分たちの空想の世界の中で、自由にバスに乗ったり気球に乗ったりしながら、とびきり明るい世界へ旅していける。
大人たちが怖がっている怪物っていったい何だろう?
junaidaさんの、正解を作らない自由な楽しみは続く。
大人もドキッとする本です。
自分で予約してでも買いたいと思った本はそうそうないでので、ぜひぜひ読んでほしい一冊。
junaidaさんの絵本「怪物園」インタビュー 怪物のいる現実、空想に遊ぶ子どもたち
https://book.asahi.com/article/13965285
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