表紙を見たときから惹かれるものがあった、あべ弘士さんの絵本『ひぐま』。
好書好日でインタビュー記事を取材執筆しました。
昨今のクマ被害のニュースもあって注目されていますが、それとは関係なくヒグマの絵本を作ろうと思っていたそうで、クマと共存し、クマの生態を見守ってきたあべさんのお話は大変興味深かったです。ニュースを見ても「自分の子を含めて人間を守りたい気持ち」と「クマを助けたい気持ち」の中でもやもやすることがあって、あべさんの解釈を聞いてみたいとも思っていました。
北海道に住むあべさんは、子どもの頃からすぐそばにくまがいる生活をしてきたといいます。絵本には冬の穴の中で子育てする様子が描かれていて、ヒグマのお母さんが大事に子育てをしていく様子を丁寧に表現しています。「俺らはずっとヒグマと共存していたからさ」と言うあべさんの、クマに対するまっすぐで平等な考え方はなるほどと思わされました。絵本の中で、クマが冬眠から覚めてはじめて見る、北海道の冬から春の風景描写も素晴らしいです。美しい色遣いに、はっとさせられますね。ここにこの色を使うなんてすごいなと巨匠の技を改めて拝見しました。
数日前、里親支援のイベントに参加した折、急にこのクマとの共存の話題が出たことがありました。そのとき、どこにも行き場のない母子の気持ちは、人間と同じなんだろうなとふと思いました。クマにもシェルターのような安全な山を作ることはできないのかなと話したりしましたが、それも人間のエゴなのかもしれませんね。本当にとても難しい問題です。
■絵本「ひぐま」あべ弘士さんインタビュー クマも懸命に生きている「事実を知ってほしいんだ」
0コメント