いろいろな作家さんから内田麟太郎さんのお話を聞くことはあったのですが、お会いするのははじめて。言葉の感覚が研ぎ澄まされていて、それでいて歯に衣着せぬものいいが気持ちよく、もっともっとお話を聞いていたいと思う方でした。
言葉が出てこない子をモチーフにした絵本で、はじめは、記事内に「発達障害」という言葉を使っていいものか、悩みました。私自身はこういう内容に触れることが多いので、症状が一言で伝わる言葉であることはわかっています。ネガティブなことばかりではないことも。でも一般の人と内田さんが思うそれはちょっと捉え方が違う気がしていました。「言葉が出ない」「後から診断はついたけれど」というところに「発達障害」というワードを使っていなかったからです。お話を聞いていると「人間は苦手な所もおもしろい所もある、苦手をすぐ治そうと焦るより、困ったことが困ったと思えなくなるまでゆっくり見守ってやろうや」という気持ちがにじみ出ているようで、それをどんなふうに伝えたらいいんだろうなあと思っていました。
私自身、本当に言葉が出ない子でした。山崎おしるこさんも、芸人のようなしゃべるお仕事をしているのに、話をするのが苦手だったとお話していました。障害という名前がなくても、うまく話せなくて困っている人はきっとたくさんいます。そんな方々に、この絵本で何かを感じていただけたらいいなあと思っています。
■内田麟太郎さんと山﨑おしるこさんの絵本「あのね あのね」 発達障害の孫と同じように気持ちを伝えるのが苦手な君へ<好書好日>
0コメント